家が欲しくなった

人生のモチベーションを高めるための空間は大切である。

 突然、マイホームが欲しくなった。きっかけは、1/25にたまたま見たTVの夕方情報番組である。

 TVは普段あまり見ないのだが、情報場組では住宅の完成見学会の様子が映し出されていた。完成された住宅建築壁面に障害者の方達のアートグループが、素敵なイラストを描いていた。

すぐにその住宅メーカーをインターネットで検索したら、デザイン&価格が素敵な商品住宅に魅了された。低価格なのにデザインがシンプルで僕の心を揺さぶった。良いな程度のものが次の偶然を呼び寄せる。

次の偶然は、たまたま次の日に要件の為に行く予定だったビルの中に、その会社のギャラリースペースがあるではないか!

これはもう行くしかない。早速、次の日に用事を済ませた僕たち家族は、何気ない気持ちでギャラリースペースを少しだけ覗いた。

模型が置いてあり、他のスペースには魅力的なインテリアのパーツが展示してあった。妻も衝撃を受けたみたいで、家が欲しくなったと言った。担当スタッフの方にも優しく対応して頂き、眞木健一さんの本を読んでみようと思った。

TVで放映された展示場が2月末日で終わってしまうことをスタッフから聞いた僕たちは、展示場へ向かった。都会の一等地にまさに四角の白い箱が建っていた。ドアもシルバーグレイのシンプルさ。中を覗くと、今まで見てきた住宅は何だったのだろうと思うくらいに、全てが洗練されていた。

展示の為に間に合わせの家具や、キッチンツールでは無く、デザイン性の優れたモノをチョイスしてある細かさ。2階への階段は白く、夢へ昇っていくような感じがした。壁面には、色とりどりの動物や町の絵が描かれていた。


担当者からまた違う展示場の紹介があり、その日のうちにまた僕らはその足で違う展示場へ向かう。

今度は、展示場用の家では無く、実際に住宅街に建てられた施主さんの好意からの展示会だ。43坪程度の敷地に建っていた。内容も施主さんが友達へオーダーしたというブックシェルフは2Fのフリースペースの壁面に設置されており、棚板の角を斜めにカットすることにより圧迫感を軽減していた。より生活をイメージできる。

その日は、興奮して妻と家のこと、人生の事について語り合った。

マイホームは必要ないと思っていた。ランニングコストを考えると、今の家賃を払い続ける方が資産的には有利だと思うから。とても大きな買い物で、逃れられないローンへ身を投じるのは怖くてできない。

中古住宅を買ってリノベーションするという方法も考えた。自分で作る楽しみもあるし、経済的にも良い。自分の好きなものに作り変えるのは、センスや手間も必要だが、好きな事でもあるし時間があればなんとかやれるだろう。

しかし、妻と共に働いていては、平日の時間は暮らすことに精いっぱいになってしまう。漠然と考えはしても具体的な進展は無かった。

今回の衝撃的な出会いが1つの転機になるのではないか。

家は暮らしの原点であり、幸せを育むのに必要な空間である。では幸せとは何か?育むこと、すなわち日常のことである。
日常の雑多な事の中に幸せはあるものだと思う。

休日の朝、僕以外の家族は、いつもよりゆっくりめの起床で、僕はランニングの後にホットケーキを焼いている。
メープルシロップとバターとコーヒーの香りがキッチンに充満する頃に皆が起き出す。
何事もない、何も特別な事ではない普通の朝が幸せなのだろう。

普通を演出するための空間は、とても大切なもの。現在は1軒家の古い借家だが、室内はコンパクトに心がけている。まだまだ洗練されているとは言い難いが、少しずつ理想に近づいている。

家を建てるか建てないかは別にしても、人生の事は考える必要がある。