自転車が好きな理由

 自転車が好きな理由の一つに、自分の力でどこへでも行ける”自由”がある。少年のころ感じた純粋な自由という感覚。今では、自動車で10分のところも、徒歩が主な移動手段であったあの頃は見知らぬ土地であった。自転車に乗るようになって隣町まで行くあの不安感やわくわく感。自分の世界が広がる自由があった。

 自転車は、一日で走れる距離等の限界はあるにしても、車と比べてスピードが遅いので、自宅近くをサイクリングしても今まで見落としてきたことに本当によく気づくようになる。また、内燃機関などで使用するエネルギーすなわちガソリンが要らないということは、循環型社会にわずかながら貢献しているというある種の自負、セルフイメージアップもある。

 みんなで自転車に乗れば、いくらかは交通事故が増えるにしても、もう少し人間らしく健康でいられる人が増え医療費の削減にもつながるのではないかと思う。そのためには、インフラ整備が不可欠である。主要な駅周辺部は自転車のみ乗り入れ可能なオランダなどの自転車先進国が参考になるだろう。

 日本は、戦後の道路整備で間違った。車道を走っていた自転車を、交通事故防止のために歩道も走れるようにしたのだから。現在、日本の道路は自転車が安心して走れるような環境ではない。将来、エネルギーがガソリンから電気に替わる時代がくるだろう。その時に、ガソリンと同じスピードを目指してはいけない。もっとスローでいいではないか。過去の栄光など捨ててしまえ。

 僕一人が何をできるのか分からないが、一人が一人が考えれば良い方向へと進むに違いない。自転車に乗ると、普段考えないで済むことも含めよく考えるようになる。明日の天気だとか、行きは良かったが帰りの雨はどうするか?何を持っていくのか、何を置いて行くのか?自分にとって必要なものは?コンパクトにまとめるにはどうすればいいか?

 よく考え、よく眠るようになる自転車は、最高だ。